Call of the Sea
ジャンル :謎解きアドベンチャー
価格 :2050円
プレイ時間:7~8時間程度
評価 :7
Call of the Seaというタイトルに少し耳馴染みのある方もいるかもしれない。
それもそのはずで、本作はTRPGで昨今有名となったCall of Cthulhu(クトゥルフの呼び声)のシナリオの一つである「インスマスの影」をモチーフとした作品だからだ。
ただ本作ではモチーフとして用いられているだけであり、クトゥルフの呼び声から得られるコズミックホラー的な要素はなく、アクション性もない。(ただし超常的な現象を目にすることはある)
システムは純粋な謎解きとアドベンチャーにフォーカスしているため、ホラーやアクションが苦手でも問題なく遊べる。
美しい南国の島を巡り真実を解き明かす
主人公の病気の解決策を探しに島へ旅立った夫が行方不明となることから本作は始まる。
主人公は夫を探すため島に降り立ち、夫が率いる探検隊の痕跡をたどりながら、遺跡の謎をときつつ先へと進んでいく。
しかし事態は次第に雲行きが怪しくなり‥‥‥というのが本作のあらましだ。
島のロケーションはセルルックアートで美しく彩られ、バカンスしたくなるほど素敵だ。遺跡の苔むした岩肌からは、ひんやりとした質感すら感じられ、謎解きの最中も目を楽しませてくれる。
しかし景色という魔法に足を取られたのか、ダッシュボタンを押しても遅すぎる移動はプレイ時間を重ねるほどに煩わしく感じるし、デフォルトの移動方法が使用機会のない歩きで、走るためにはボタンを押さなければいけないという部分もストレスが溜まる。
手帳システムで親切な謎解きと、その功罪
本作の特徴として、謎解きゲームとしては非常に親切な作りであるということが挙げられる。
筆者がプレイしてきた、いわゆる謎解きゲームと言うと、手に入れたアイテムをどこに使うか悩んだり、壁に描かれた意味深な記号を念の為メモしたり‥‥‥といった形で意図的に不親切な印象なのだが、本作ではそういった部分をすべて手帳システムによって簡素化している。
謎解きに必要な情報は調べたときに手帳へそのまま記載され、アイテムを拾えば自動で手帳に挟まり使うべき場所を調べれば自動で使用される。
目の前にある謎を解くのに必要な情報は手帳に記されている。
逆に記されていなければ、謎解きに必要な情報が足りていないので、周囲を探索する必要がある。
この簡素さ初心者でも遊びやすい本作の魅力であるが、同時にいくつかの問題を生み出している。
まずは謎解きが簡単すぎるという問題だ。
謎解きというのは散りばめられた情報という”点”が、繋がって”線”になった瞬間に答えを閃き、カタルシスを得るものだ。だが本作では点と点が過不足なく手帳にすべて記されてしまうため、線に繋げる作業が簡単になりすぎているきらいがある。
また、その中で後半は難易度を上げる試みとして純粋なパズルや調べる対象をヒントなく意外な場所に配置するという方法を取っているが、はっきり言って自らの首を絞めるような仕組みでスマートではない。
謎解きの最中も気になる荒削りさ
本作は「Out of the Blue」というインディースタジオの処女作として世に出たと考えると、非常に良くできた作品だ。
ただ荒削りな部分も終始見え隠れしており、それは頻繁な処理落ち、テクスチャ読み込みの遅れ、少したどたどしいモーションや演出といった部分に現れている。
特に演出部分では、モノを拾い上げて調べる際の明かりが周囲のライトしか用意されてないという部分は惜しく感じた。
例えばメモ書きをズームして文字を読もうと思った場合、ライトから離れてしまって影ができ、文章がほとんど読めないということがあった。または対象的に、ズームすると周囲のライトの影響を強く受けすぎて眩しいくらいに光り輝いてしまうという場面もあった。
探索の中でモノを調べるという行為は没入感を生み出す上で重要な要素であるだけに、ここが少し調整不足であるのは改善したほうが良かったのではないかと感じた。
良い点
・南国の島や遺跡を彩どる、美しいセルルックのアートワーク
・謎解きに必要な情報が記録される手帳システム
賛否両論点
・手帳システムによって、かなり簡単な謎解きと後半の不親切さ
・やや人を選ぶ不思議なシナリオ
悪い点
・画質が中設定でも頻繁に起こる処理落ち、テクスチャ読み込み
・荒削りなモーション、演出まわり
・煩わしい移動
評価:7
インディーゲームとは思えないほど表現が豊かな作品。美しいアートには心が奪われるし、謎解きと物語の2つの車輪はエンディングまで駆け抜けるには十分な力を持っている。しかし荒削りな部分も見え隠れし、謎解きは経験者からすれば、やりがいがないほど簡単かもしれない。
あとがき
今回もXbox game passにてプレイ。
謎解きは結構親しんでいるジャンルであり、それこそ中学生くらいからパソコンで脱出ゲームのフラッシュを漁ったり、SCRAPなどのリアル脱出ゲームや謎解きイベントに参加したりしている。ただそういったゲームをプレイしているから得意なのかというと、実はそれほど得意ではなかったりする。(好きなんだけどね)
未だに脱出ゲームはよほど簡単なゲームじゃないとヒントなしではクリアできないし、謎解きイベントもクリア率は10~20%くらいで低い。
そんな僕でも本作の謎解きは一回も詰まることがなかったので、恐らく脱出ゲームフラッシュで言えば難易度は★1の最弱クラスなのだと思う。
‥‥‥それにしても、謎解きゲームも進化したなあ。
フラッシュのころなんて画像を横矢印押して部屋を見回したり、画像を端から端までクリックしてアイテム探したりしてたのに、今はこんなに綺麗な島をテクテク歩けるなんて。
ゲームにも当然衰退するジャンルや思ったより栄えないジャンルというものがあって、例えば牧場物語みたいなゲーム的な農業・酪農ゲームって意外と栄えてなかったりして‥‥昔流行ったゲームが今も勢いがあるかというと、そうでもなかったりするのが難しい。(最近だとStardew ValleyとかMy Time At Portiaとか出てきて、盛り上がってるけどね)
その中で謎解きゲームという結構ニッチだと思ってたジャンルがリアルイベントでこんなに有名になったり、インディーゲームでこんな良作に恵まれたり、嬉しい‥‥。
今後はAIが発達したら、マーダーミステリーのゲームとかも出るのかな。
自分以外のプレイヤーをAIがやって、一人でも楽しめるマーダーミステリー‥‥胸が高鳴る。
ただ僕ではAIなんて分野どうにもできないので、なんとか世の中のすごい人達が作ってくれないかなあと待つばかりです。
レイトン教授と奇跡の仮面プラス
ゲーム概要
謎解きADVといえばこのゲーム。
シリーズ全世界累計出荷本数が1700万本以上という一大IPであるレイトン教授シリーズの5作目だ。
3DSローンチタイトルということもあり、その機能を活かして存分に生かして作られている。
そんな本作の良いポイント、悪いポイントも交えてシステム、シナリオ、まとめという観点で書いていく。
システム
良かった点は、3DSの機能を生かして作られた多用な謎解きだ。
タッチペン操作、ジャイロ操作を駆使して解き明かすのは純粋に楽しかった。
一部ゲームでは操作性が悪いので賛否分かれる部分でもあるとは思うが、一辺倒にならなかったので好印象。
ただ会話スキップが出来なかったり、謎を探してそこらじゅうをタッチする無為な作業は好きになれなかったため、そこらへんは簡便化していいのにとは感じた。(謎婆さんがいるので謎は終盤以外発見しなくて良いけどね)
シナリオ
とてもシンプルだが、声の演技も相まってとても良かった。
俳優と聞くとどうしても棒読みの拙い演技と思いがちだが、レイトン教授シリーズにそのレッテルは通用しない。
主要メンツはほとんど名の売れたの俳優で固められて言うにも関わらず、ちゃんとこの声だから良い!というレベルの高い演技で脱帽する。
俳優を使うのが悪いんじゃなくて、妥協するのが悪いんじゃないだろうかと考えさせられる。
ただ謎解きゲームだけに、本筋にもどんでん返しを求めると肩透かしを食うため、あくまで子供にも受け入れられるレベルの物語であるということは念頭に置こう。
まとめ
■良い点
・シンプルながら丁寧なストーリー
・多様な謎解き
■悪い点
・一部説明が不十分な謎がある
・馬レースなどではタッチペン操作がストレスの原因になっている
総評
後々自分で見返したときに分かりやすいように、総評には5点評価で何点だったかを書いていこうと思う。
評価はクリア、もしくは断念した時点でのものになる。
ということで、こちらのゲームの評価は……
4点!
謎解きとして楽しかったし、シナリオも普通に面白かった。
ただ一部では謎の説明が不十分に感じたり、馬レースのようなタッチペン操作が煩わしい部分もあったため減点した。
あとがき
実は1作くらいしかやったことがないレイトン教授シリーズで、今回プレイした奇跡の仮面も第2シリーズの2作目というのだから非常に中途半端なところからプレイしていることになる。
本当は1からやりたいのだが、セールが本作からだったので致し方ない。
最近は名前を聞かないなと思って調べてみたら、最新作は2017年のレイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀で止まってしまっているようだ。
ただ今はクイズノックや松丸亮吾など謎解きで地上波を賑わせる人たちがいてくれるので、コラボしたら面白いものができるのではないのかなと思う。
ニンテンドースイッチで出したら、たぶん50万本は売れるんじゃないかなあ。
僕がレベルファイブに所属してたら、真っ先に企画書を提出するのになと思った今日このごろでした。
TITAN FALL2 タイタンフォール2
ゲーム概要
スター・ウォーズのような星系規模での戦争を一人の英雄視点で描く、Sci-Fi FPSだ。
筆者は1作目はプレイ済みとなっており、本作もシングルクリア、マルチも50レベルくらいまでは遊んだのでレビューしてみようと思う。
SFとしてみても非常に完成度の高い本作だが、その特徴はなんといってもタイタンと呼ばれる全長5メートルほどの人工知能ロボだろう。
シナリオでは心を次第に通わせる、頼れる相棒として。バトルシステムでは爽快感と戦略性を生み出すギミックとして機能している。
ただコアなジャンルからなのか、イマイチ波に乗り切れずブレイクしないという不遇の名作である本作を、今回はバトルシステム、シングル(シナリオ)、まとめという観点で書いていく。
バトルシステム
まず良かった点として、一定の評価を受けた前作から良い意味で大幅な変更がないところだ。
本作は初心者が全くついていけないであろう目まぐるしいスピードでウォールラン、壁ジャンプ、グラップルなどの立体機動でプレイヤーが戦場を縦横無尽に駆け回る。それがタイタンフォールだ。
ただそれだけでは単なる難しい玄人向けのゲームになってしまうが、タイタンフォールでは「ミニオン」と「タイタン」という発明をもって解決した。
まずミニオンだが、これは両陣営に自動で定期的に現れる戦闘NPCだ。
団子になって歩いており、初心者でもまず負けることがないザコ敵になっている。
こいつらを倒すことでも勝利スコアに貢献でき、更にはタイタンや強力な兵装(ブースト武器)を出すためのゲージも溜まるため、いわばスプラトゥーンの「塗り」のような、初心者でも参加できて貢献できる作業が用意されている。
これによって、まずは何も出来ないという最悪の状況だけは免れることができる。
更に、ミニオンを倒すことでタイタンを呼ぶことができる。
簡単に言えば強力な搭乗兵器で、これに乗れば他のプレイヤーがタイタンに乗ってない限りはあっという間に殺されるということはなくなる。
つまり初心者でも、ミニオン狩り→タイタンを呼ぶという段階を踏めば戦闘に参加できる仕組みを作っているわけだ。
ここがQuakeが廃れ、CoD IWが忌避され、Hyper Scapeが亡霊となったスポーツ系FPS(立体機動でぴゅんぴゅんするFPS)凋落の時代にあっても名作と言われる所以だろう。
悪い点としては、まずマップが複雑すぎることだろうか。
前述したように初心者にも配慮された本作ではあるが、マップに関しては全く配慮はなされていない。
特に高所に登る手段が兵装にグラップルを選んでいない場合、ウォールランしか手段がないにもかかわらず、登りづらい場所が多すぎることが問題に思える。
またタイタンよりも高いタワーから対タイタン武器で打ち下ろされると、かなり一方的に攻撃される羽目にもなる。(タイタンはジャンプできないため、ピークしてきた一瞬で殺すしかないが、一部のタイタン以外は一瞬で殺せるほど火力がない。)
もう少しシンプルに、明らかな強ポジションがない流動的な戦場で良いのではないかと思った。
シングル(シナリオ)
ゲームと言うよりも、映画のようなシナリオで非常に面白かった。
通しで6時間程度でクリアできてしまうため、収集アイテムのコンプリートや最高難度への挑戦を目的としていない場合はボリューム少なめという印象だ。
その分、非常に濃厚な時間であることは確かで、中だるみは一切感じなかった。
まず素晴らしいのは、SF作品としての作り込みだろう。
飛躍した物語というわけではなく、登場する武器一つ一つにも製造会社が設定されていて会社の特色を反映されたデザインになっていたり……という作り込みで、世界観全体に現実的な説得力をもたせていることで堅実で間違いない作品になっている。
物語は戦場での上官の死によって、タイタンが次なる搭乗者を主人公に選択(タイタンは人工知能が備わっており、人格が存在する)したことではじまる。
搭乗することを選んだ主人公は、上官の代わりに極秘任務を遂行することとなる。
その中でタイタンと次第に信頼しあい、相棒となっていく様子や立ちはだかる巨悪に対して抗う姿を描いていく……ということを戦闘時間込で6時間で描ききる。
そのため難点として、登場人物に対する情報がほとんど得られないまま退場していってしまう。
特にボス敵に関しては、どういう人となりなのか断片的な情報を少しだけしか知ることが出来ないため、倒してもそんなにカタルシスもなければ感動もない。
設定上はそれぞれ色々あるのに、ここは非常に残念なところだ。
そして私が一番好きだった部分が、タイムワープを駆使して建物を攻略していくステージだ。
正直ここだけで元が取れるレベルで楽しかった。
別の会社にクォンタムブレイクという時間をテーマにしたTPSがあるのだが、その作品がたどり着けなかった最高のゲーム体験をここですることになるとは思わなかった。
爽快感と万能感で、脳汁が溢れ出ること間違いなしだ。
まとめ
■良い点
・最高に面白いシングルキャンペーン
・動かしているだけで楽しいキャラコントロール
・初心者にも参加可能なスポーツ系FPS
・ロボに搭乗して戦場を駆け回る楽しさ
■悪い点
・登場人物があまりわからないまま退場するシングルキャンペーン
・マップデザインが複雑すぎて、ゲーム体験が微妙なところ
総評
後々自分で見返したときに分かりやすいように、総評には5点評価で何点だったかを書いていこうと思う。
評価はクリア、もしくは断念した時点でのものになる。
ということで、こちらのゲームの評価は……
4.5点!
理由としては、至極単純で動かしていて楽しいFPSだったからだ。
スポーツ系でありながら、ミニオンやタイタンの存在で無力感にさいなまれることもないので非常に気軽に遊べた。
またシングルキャンペーンはFPSのシングルでは歴代でも1,2を争う面白さだったので、是非体験していただきたい。
あとがき
タイタンフォールは絶賛プレイしているApex Legendsとの関係が深いということで以前から興味があったので、今回プレイできてよかった。
特に、Apexのシーズン9で登場する新キャラ「ヴァルキリー」はタイタンフォール2のボス敵ヴァイパーの娘だと聞いていたので、注目してみた。
だけどタイタンフォール2では船の上でヴァイパーは死んでるのに、Apexのトレーラーでは墜落して地面で死んでたため矛盾が気になってしょうがなかった。
まあ、後付で設定つけるとこういうことは往々に起きることなので、ご愛嬌。
アッシュというボス敵もApexの新モード「アリーナ」を主催していたりして「お前死んだはずじゃ…」と思ったりしたが、アッシュは人造人間らしいので人格をクラウドにでも保存してたのかなと考えたりしてました。(それってめちゃくちゃ強い気がするけどね)
ここで、そもそもをたどるとApex Legendsとはタイタンフォール2のボスたちが所属するApexプレデターズが主催するゲームであり、両作品は非常に密接な関係なんですね。
少し説明すると、巨大企業IMCがかつて牛耳っていたが一時放置していた大きな星系「フロンティア」を再度牛耳ろうとしたが、その横暴に耐えかねたフロンティアの人々が星系連合ミリシアを立ち上げ、数百年にも及ぶ戦争を繰り広げた(タイタンフォール2での戦争もこれが舞台)。
その戦争のほうが終結すると、平和は訪れたもののフロンティアの星々の資源は枯れた状態になってしまった。
そこで人々は資源が豊かな新たな小さめの星系「アウトランズ」に進出するが、そこは無法地帯で死と隣り合わせの危険な場所だった。
そこに目をつけたApexプレデターズはアウトランズ全体を巻き込んだApexゲームを主催。
それがApex Legendsということなんです。
タイタンフォール2でもApexプレデターズのボスであるクーベン・ブリスクは金に重きをおいている男だったので、恐らくこのゲームもブリスクにとって金になる仕組みがあるのでしょう。
ただ単純に金を稼げば良いのであればApexプレデターズの実力でアウトランズを支配して資源を牛耳れば良い気がするため、目的としては組織拡大や宣伝が大きいのではないかなと思います。
こういう隠された設定を知ると、ゲームは更に面白くなりますよね。
(できればゲーム中で知りたいけどね…)
逆転裁判6 &DLC
ゲーム概要
クセの強い登場人物が楽しい世界で弁護士として法廷バトルを繰り広げるADVゲーム。
本作はそのナンバリング6作目。
逆転裁判シリーズはファンで、前作である逆転裁判5も記事にした。
今回は逆転裁判5から良くなったポイント、悪くなったポイントも交えてシステム、シナリオ、DLC、まとめという観点で書いていく。
システム
まず良かった点として、前作である程度改善されたADVゲームとしてのシステム面だが、今回も嬉しい変更があった。
それが「全部スキップ機能」だ。
前作までは既読部分はスキップが可能だったが、今回からは未読部分でもスキップができるようになり、冗長な部分を自分のペースで読みすすめることができるようになった。
また舞台がクライン王国に移ったことで霊媒にまつわる新要素も出てきて、適度に難易度が上がってやりごたえも増した。
(逆転裁判4からは臭いものに蓋でもするかのように、コントロールできなくなった霊媒という要素を消し去っていたため、成歩堂編が好きな人には嬉しいポイントだ。)
キャラごとにも推理方法が変わってくるため、過去一番遊びの幅が広がっていた。
悪い点としては、ロードの多さだ。
何かがあるたびに処理落ちのような動作になったり、数秒間静止画になってロードされたりと、グラフィックを無闇に豪華にしたことで快適性が損なわれてしまっていた。
プレイしていたのはNew 3DSで処理機能が向上していたのにこれだったため、通常の3DSだと更にストレスフルだったのではないかと思う。
その上、操作を受け付けない冗長なモーションを行うキャラがいたりもするので、ストレスが多く感じた。
シナリオ
逆転裁判5では、成歩堂龍一が一歩引いた「保護者」のような視点になってしまったために詰まらなくなったと書いた。
今回はその反省を踏まえてなのか、大胆に逆転裁判の顔である「成歩堂龍一」を中心に作品を展開している。
それが功を奏し、テキストが保護者としての成歩堂龍一ではなく、主人公としての成歩堂龍一に戻ったことで圧倒的に魅力を増した。
シニカルで、行きあたりばったりで、そのクセどんなピンチも不敵に笑ってなんとか切り抜ける成歩堂龍一だ。
その上で真宵ちゃんも登場してしっかり物語に絡んできて、戻ってきたんだ…という得も言われない感慨にふけった。
物語としても、倉院の里と王泥喜法介の生い立ちに関わる重要な事項を絡めつつ、全体で一本の流れになっていて、主軸がブレていた前作と違って読み進めたくなる力が強かった。
(4章は箸休めだったのでもどかしかったが、短めに調整されており考えられているなと感じた)
DLC
前作ではとても面白かったDLCだが、今回は一転して面白くなくなったと言わざるを得ない。
といってもクオリティが下がったわけではない。
矢張、御剣、真宵ちゃんといった成歩堂編の主軸となるメンツが揃い踏みで進むファンコンテンツとなっていて力が入っていることは伺える。
だが裏腹にやろうとしていることがチャレンジングで、それがほとんど裏目に出てしまっていることが要因だ。
DLCでやろうとしていたことは、簡単に言えばドラマだ。
より感情を揺さぶり、登場人物に魅力を覚え、同情するようにしている。
だがその手段が全く良くなかった。
その手段というのがキャラクター性やキャラ自身のクセ、生い立ち、伏線を「スキップ不可の冗長なモーションで表現する」というものだ。
実に頭の悪いパワープレイで、単純にプレイヤーが覚えるまで何度も何度も嫌になるまでみせるという手法をとってしまったためだ。
そりゃ覚えるだろう。毎度テレビCMよろしくスキップできないモーションを見せられ続ければ商品名を覚えてしまうように、どんなモーションだったかは覚える。
だが強制的に見せられ続けたとして、あなたはそれが好きになるだろうか?
否、多くの人は嫌いになるだろう。
事実としてACジャパンのCMはとあるタイミングで異常なほど流れたことがあるのだが、その際に「流れすぎ」というだけで苦情が絶えなかったそうだ。
このようにドラマに重きをおいているため、事件としても表面上は奇抜だが実はかなり堅実な作りだ。ギミックは使い古されたものに過ぎない。
つまり今作のDLCは新たな表現方法を模索する実験場として機能しており、その表現方法が失敗したため結果として残されたのは面白みの薄い謎解き、冗長でストレスの溜まる会話、でもファンサービス要素があるからプレイはしたいという真綿で首を絞められるような、徐々にストレスが溜まるくせにカタルシスのないコンテンツだ。
ドラマの部分に注力するという方向性を悪いとは言わないが、もっと象徴的なモーションをブレイクモーションのように一度だけ見せるとか、もう少しクレバーな表現方法を見つけてくれればと思う。
まとめ
■良い点
・より充実したスキップ機能
・成歩堂龍一を主軸にして蘇ったテキストの魅力
・主軸が明確になったことで面白くなったストーリー
・霊媒にまつわる新要素で広がった遊び
■悪い点
・処理落ちやロードの多さ
・DLCが面白くない
総評
後々自分で見返したときに分かりやすいように、総評には5点評価で何点だったかを書いていこうと思う。
評価はクリア、もしくは断念した時点でのものになる。
ということで、こちらのゲームの評価は……
4.5点!
理由としては、何より読み進めていて楽しかったことだ。
成歩堂龍一が主軸となり、テキストも保護者から主人公になり、魅力が蘇った。
ストレスの溜まるロードなどの問題はあって完璧とは言えないものの、前作と比較するとずっと好きになった。
反面、DLCでは苦肉の策のような表現方法ですべて台無しになってしまっていたので、もう少しADVでプレイするときの感覚を身につけて欲しい。
次回が作られるのか僕にはわからないが、霊媒を意図的に使えるようになった真宵ちゃんを武器にして逆転裁判7を作れれば絶対面白くなるとおもうので、なんとか頑張ってほしい。
あとがき
今回は成歩堂龍一を起点とした逆転裁判1~3の成歩堂編を思わせる面白さがあって、大満足だった。
そりゃ顔なんだから起点とするのは当たり前でしょ?と思うかもしれないが、逆転裁判4から開発はなんとか世代交代を出来ないかともがいていたのだ。
カプコンは昔からIPがある程度醸成したら主人公を変えたりシステムを変える傾向があって、半々くらいで失敗している。
例を出すと、バイオ4やロックマンエグゼなどは成功したが、デッドライジング2や逆転裁判4やモンハン3などは失敗して、後に原点回帰している
今回面白かったのは、世代交代というカプコンの博打を諦めてくれたのが大きい。
当然IPの寿命という観点でいく以上、世代交代をしなければ遊びの幅にも限界があるしキャラクターもマンネリ化すると思うだろう。
だがよく考えて欲しい。
コナンやワンピースは世代交代なんてしなくても、今もIPのトップランナーだ。
やってることも変わらないが、展開と新たな引き出しを創出しつづけてトップを走っているわけだ。
カプコンはそろそろ、IPには燃料さえ切らさなければ(つまり開発に能力さえあれば)半世紀だって売れ続けることを認識して欲しい。
ドラゴンクエスト11S 過ぎ去りし時を求めて
言わずとしれた日本を代表するRPGの一つであるドラゴンクエスト。
その30周年を記念して圧倒的なボリュームで紡がれるのが本作だ。
スタイルは変わらず伝統的なJRPGだが、随所にやりやすくなった調整が施されており、歴代でも屈指の名作になっている。
特徴的なのはドラクエ8以来となるデフォルメではない、高い等身での3Dグラフィックと、圧倒的なボリュームだ。
Xbox GamePassでプレイしており、当然日本語対応。
クリア時間は裏ボスまで込で9割程度クエストなどもこなして140~150時間程度。
クエスト全クリやボイスドラマ、結婚イベントのようなやりこみまで含めれば更に10時間以上のボリュームは優にあるだろう。
感想
まずは筆者のプレイ歴をお伝えしよう。
DQ(ドラクエ)プレイ歴はナンバリングは1,5,8,9となり、ジョーカーやテリーのワンダーランドもクリアしている。
ほかは漫画でロトの紋章やダイの大冒険を読了した経験から、平均的なDQプレイヤーくらいに知識はあるはずだ。
その上で、なぜドラクエ11が良いのか?というお話をしたい。
この2つは対を成すような構成をしていて、FFが革新・最先端とするならば、DQは伝統・古典となる。
戦闘システムの根幹はドラクエ1から変わらないし、演出やシナリオも堀井雄二氏が一貫して王道テイストで行っていることからもよくわかるだろう。
これはIPの姿勢として、すごく愛を育みやすいし、「ドラクエが好きです」とひとくくりにしやすくて非常にいいことだと思う。
でもそれ故にマイナス面もあって、最たる例がシステムの面倒な古臭さを捨てきれない部分が非常に多かったところだ。
特に以前から感じていたことがレベリングの面倒さで、パーティーメンバーはいつの間にか固定化されていたのが歴代作品だったように感じる。
そこを今作では、レベリング、エンカウント、スキル、パーティーメンバー・・・全ての要素に調整が施され、歴代で屈指の遊びやすさを誇っている。
ここがドラクエ11が多くの人々に愛される理由の一つじゃないかと考える。
近年はポケモン然り、モンハン然り、旧来の面倒な部分をバッサリと切り捨てて、腰を据えてのプレイが億劫で辛くなってきた中年層にも響くようなものが作られてきている。
ドラクエもその流れに見事乗りこなしたことが、世間でも大きな評価につながったのではないだろうか。
そんなドラクエ11を、次は要素ごとに分解して考えていこうと思う。
バトル
基本のシステムは従来から逸脱していないが、一番最初だけ全員の行動を選んで、以降は素早さ順に敵味方入り混じって行動が訪れるため、ターン制コマンドバトルとは趣が異なる。
行動ごとにウェイトのあるアクティブタイムバトル…というのが一番的確な表現ではあるが、なにか専門用語でビシッとこれを指す言葉があるのだろうか…
ともあれ、このシステムによって強敵との戦闘では敵の手順がいつ回ってくるかという部分でも緊迫感が生まれ、パーティーメンバーとの入れ替えも戦略としての幅を持つ良いシステムだ。
システム
多くの部分に現代的なテコ入れがされて遊びやすくなった本作。
まずプラス部分に触れていくが、特に大きな変化と言えるのがランダムエンカウントからシンボルエンカウントへの変更だろう。
ランダムエンカウントは歩いていると逃げ続けない限り、自動的にレベリングが行われるためシームレスに楽しめるという利点があったが、正直現実的には機能していなかったので面倒なだけだった。(安全地帯に抜けるまでの緊迫感を生む…という機能もあるかもしれないが、リレミトとルーラがある以上はほとんど形骸化しているだろう)
ではシンボルエンカウントにすれば良いという単純な話ではなく、敵と戦うか選択できてしまうシステムの中で「どうやってプレイヤーに適度にレベリングさせるか」ということになるのだが、ドラクエ11は敵の種類を地域ごとで完全に変えることで「こいつはどんな敵なんだろう?」という好奇心を利用して戦闘を行わせるという方向にシフトした。
はっきり言って、ものすごい量のリソースを使う仕様なのでドラクエならばこそできたことだが、これは大正解と言えるだろう。
逆にマイナス面もある。
ただこれは未だに古臭い仕様ということなので、刷新されたシステムについてではない。
それはキャラが持っているアイテムを移動させるのが異常に面倒ということだ。
ひとつひとつ選択して→渡す→渡す先を選んで~をやらなければならない。
まとめて渡すくらいできて当たり前だと思うので、ここは次回以降ぜひとも改善してほしい。
グラフィック
今作の見どころの一つ、それは美麗でデフォルメされていないグラフィックだろう。
Unreal Engineを使ったことで最先端のグラフィックを手に入れた本作は、ドラクエ8の根強いファンたちを大いに沸き立たせたはずだ。
実際プレイするとシンボルエンカウントとの相性が本当に素晴らしく、どでかい敵シンボルは直感的に強いとわかった挑むときもドキドキする。
今後もすべて…というと贅沢なので、定期的にこういったグラフィックで出してほしい。
シナリオ
本作の目玉であり、歴代最高傑作だと筆者が信じて疑わない理由だ。
その最大の驚きは、まさかラスボス(ウルノーガ)までの過程がただの壮大な「前フリ」に過ぎないことだ。
そこまでのプレイ時間は30~40時間は固いだろう。
キングダムハーツ2のロクサスですら、10時間あったかなかったかと言う中で、こんな前フリがあり得るのかというレベルだ。
だが間違いなく前フリに過ぎないとわかるのが、サブタイトル「過ぎ去りし時を求めて」だ。
それはウルノーガとの戦いによって生み出された数々の悲劇を無くすため、時を戻り、真のラスボス・ニズゼルファへ挑むのが本作の全容を指し示している。
時間ループものというのは本当に難しいジャンルで、簡単に辻褄が合わなくなるし伏線も必要だしと難易度が高い。
そこを見事に破綻なく、最高に面白い形で、すべてが丸く収まった本作は脱帽の出来であると言える。
更には過去作品へ繋がっていくことまで示唆して…非の打ち所がない。
またループものでは世界線という言葉が頻出するのだが、本作では世界線は一本だけであると考えられる。
世界線とは文字通り世界そのものであり、世界線が変わるということは、元の世界線は救われないということになる。
そうなってしまうと、ハッピーエンドが訪れても影を落とすことになるだろう。
だがそこは、さすが堀井雄二氏といったところで、度々仲間たちが「そういえば前にもこんなことが…」という言葉を発する。デジャヴ的な感覚だ。
つまり世界線が変わっていないことを示していて、ドラクエ11の世界では世界線は一つで、過去を変えれば未来も変わるというハッピーエンドに影を落とさないように工夫されている。
ただ単純に面白そうだからと時間遡行に手を出したわけではなく、しっかり世界観を肉付けした上で行っているため、非常に良くできていると感じた。
総評
後々自分で見返したときに分かりやすいように、総評には5点評価で何点だったかを書いていこうと思う。
評価はクリア、もしくは断念した時点でのものになる。
ということで、こちらのゲームの評価は……
4.5点!
シナリオ、バトル、システム。すべてドラクエの中で最高水準だったと言える。
特にシナリオは出色の出来なので、なんか布教したくなった。
ただ不便な部分が無いわけではないことなども加味して満点ではなかった。
あとがき
今回もXbox GamePassでのプレイ。
スイッチでも実は持っているのだが、やはりグラフィックを最大限楽しみたいので折角ならとPC版をプレイした。
前回から間が空いたのは、当然ボリュームがとんでもなかったから。
ドラクエ11だけしかプレイしないというスタイルではないため、余計に時間がかかってしまった。
個人的に驚いたことは、NPCテキストがとんでもなく膨大なことだ。
以前NPCテキストを担当したことがあるのだが、この量を書かされたらと思うとめまいがする。
イベントごとにタイムラインで整理して、それぞれキャラ付けして、配置して、あれしてこれして……実は意外なほど面倒だったりする。
昔のドラクエなら「ここはアリアハンの町です」とかシステム的なことを言って、イベントが起きれば情報を細切れにしてそれぞれに与えてやれば良かったが、本作はそれぞれある程度キャラ付けがされているのが凄い。
酒場で「お酒がうまいぞい」みたいな、そりゃそうだろうよみたいなやつはどこにもいなかった。
僕が最初そういうシステム的なテキストを提出した時も「そんな人間現実にいないだろ」って、怒られたなあ…。
「ここは○○の町です」というのにも、町の復興と絡めたり一手間かけている。
このNPCを作った方々に敬意を評します…。
My Friend Pedro
目を覚ますと、そこは裏社会の食肉加工場だった。もちろん加工される肉とは、自分のことだ。
目の前にはしゃべるバナナが浮いている。友人のペドロと名乗るバナナに助けてもらいながら逃避行を繰り広げる2Dガンアクション。
時間の流れを遅くするフォーカスを駆使して、スタイリッシュに弾丸の雨をかい潜り敵を殲滅する、爽快なゲーム。
ペドロやマスクの主人公からデッドプールのような笑えるやりとりがあるのかと思ったが、テキストはかなり少なめ。もうちょっとペドロとの会話が欲しかったなとも思う。
Xbox GamePassでプレイしており、問題なく日本語化されていた。
クリア時間はかなり寄り道をしながらで3~4時間程度。
ただし本作は難易度HARD、BANANAで周回するリプレイ性も強いため、のめり込めば優に3倍以上のボリュームは楽しめるだろう。
感想
PVを見た時点から異彩を放っていたスタイリッシュ・ガンアクションだったが、プレイすると見た目が派手なだけではない、作り込まれたゲームプレイが感じられた。
途中途中で挟まるゲーム性の変わるステージも面白かった。
流石、もとがFlashゲームとしてすでに成功を収めていただけある。
ただ終盤のイライラ棒のような、純粋なアクションステージは、本作のキャラコントロールが精密ではない上、本作にそもそも求められていない要素だけにストレスが大きかった。
翻訳
テキスト自体は少ないが、少なくともペドロを友人だと感じられる程度にはしっかりと翻訳されていた。
バトル
スタイリッシュ・ガンアクションの名に偽りなしの、今までの2Dアクションには無いほど爽快感を突き詰めたようなシステムになっている。
主人公が出来る操作は「射撃」「サブ(銃ごとの特殊行動)」「回避」「ジャンプ」「移動」、戦闘ではあまり使わないが「しゃがみ」「転がり」で全てとなる。
ロックマンやマリオと比べても差があまりないシンプルな操作ではあるが、このゲームでは上記すべてを一つも欠かさず駆使して何回も繰り出さないと敵を倒せないため、すこし難易度は高いゲームだと言える。
「すこし」難易度が高いって…どうみても忙しすぎだろ!となるところだが、上記すべてを駆使しても脳がパンクしない、重要システムが「フォーカス」という時間の流れを遅くするモード。
ボタン一つで発動できて、敵を倒すと再補充されるので戦闘中は常にこれをつけて戦うのがセオリーとなる。
仮に使い切っても敵が残っていても、一定時間で自動回復するので安心。
個人的に感心した部分が、このフォーカスを全く出し惜しみしていない部分だ。
惜しいゲームというのは、こういった面白い部分を制限して(回復をアイテム性にするなど)カタルシスとしてシステムに組み込んでしまう点だ。
このゲームではフォーカスを出し惜しみせず、むしろ使うこと前提で作られているため、やりたいゲームをずっとやれるのが素晴らしい。
だが惜しい部分もあって、特にコントローラーでの操作が洗練されていないと感じた。
というのもこのゲーム、もとがパソコンのFlashゲームということもあってシステムそのものがPCに最適化されている。
その最たる例がアキンボ(二丁持ち)での狙う操作と回避操作のバッティングだ。
本作では銃で狙う際に、一丁目の狙う操作は右アナログスティックなのだが、二丁目はL2で自動ロックオンというシステムを採用している。
これとL1で行う回避が本作の使用頻度ワンツーになるのだが、どう考えても人差し指一本では足らない。
指2本でL1とL2それぞれを操作できる人はこの限りではないのだが、かなり多くの人は人差し指でL1、L2を両方操作するのではなかろうか。
海外のゲームだと時折この両方操作をさせるゲームは見かけるが、正直なんとかならなかったかなと思う。
他にも細かい部分として、エイムアシストが手前のオブジェクトに吸い寄せられて奥の敵を狙えないみたいなこともあったが、こちらはレベルデザインが良かったので数回程度しか遭遇はしなかった。
操作周り
今回はシステムの項目はほとんどバトルと同義なため省略して、特徴的に操作周りにスポットした。
主に感じたのは元がパソコンのFlashゲームゆえのストレスだ。
バトルの項目ではL1、L2問題に触れたが、ここでは更に操作周りに触れていく。
まず最初から最後までずっとつきまとった問題が、転がりがうざすぎる問題だ。
転がりとは移動に使用している左アナログスティックを右下か左下に傾けると発動する移動状態で、サムスのモーフボールのような状態になる。(といっても、左右に移動しかできないが)
これの何が問題かと言うと、発動すると回避行動が何もできなくなり、解除するときも1秒程度の解除モーションが発生する点だ。
たった一秒と思うかもしれないが、忘れてはいけないのがフォーカスである。
時間が遅くなるのは自身も対象なので、結果として数秒間敵に蜂の巣にされながら起き上がるのを見ていなければならない。(もちろん起き上がりが遅れれば数秒ではすまない)
ではなぜそんな事が起こるのかと言うと、ひとえに発動しやすすぎるからにほかならない。左スティックが完全に真右の状態から、右下に10度傾いただけで発動してしまう。
なぜ戦闘に不要なこのアクションがこれほど出やすいのかというと、これもパソコン最適化が関係している。
パソコンではWASDによる移動操作が採用されており、転がるにはSを入力してADで転がる。そのため誤発動が無い。
ただこれはコントローラーでも下入力から左右入力で転がるにすれば解決できたことなので、おそらく開発の誤発動のストレスよりも、手数を少なくしてスタイリッシュにしたいという思いが優先されたのだろう。
この点は失策だったと思う。
また気づいた部分として、このゲームのFlash版をプレイするとわかるのだが、挙動まで含めてかなり忠実に原作を再現しているところだ。
これは原作ファンからすると嬉しいだろうし、そもそも原作が完成度が高いため頷ける部分だ。
だがジャンプの操作が結構もっさりしていて、思ったよりジャンプしない点は少し癖があるので注意。
シナリオ
アクションとは往々にしてストーリーこそあれど、深いシナリオがあるわけではないゲームだ。このゲームも例にもれずといった感じ。
だがペドロは魅力的だし、ドラマ化が海外で発表される程度にはストーリーが感じられるので、目当てにするほどではないがゲームをやるにあたってのモチベーションの一つにはなるだろう。
グラフィック
Flash版とは似ても似つかないほどキレイだが、ゴア表現が強いため苦手な人はプレイするべきではないだろう。
日本で普段目にする洋ゲーのゴアって血が出るとかくらいだけど、本当の洋ゲーは四肢欠損とかにこだわってたりして結構ぐろい。
ただこのゲームは視点が結構引きなので、間近で見ることがないぶん平気な人も多いかもしれない。
終盤ステージ
このゲームでも、終盤になぜか失速してしまう。(ネタ切れだろうけど)
終盤の数ステージはなんと敵の出てこない純粋なアクションステージとなる。
だがジャンプもっさり、転がり暴発、操作は精密にできないとどう見ても純粋アクション向きではない上に、そもそもこのゲームをやってる人間がそんな陳腐なもの求めているわけ無いって気づけと言う話である。
そういうのやってきた上で、最高にスタイリッシュなガンアクションしたくて来てるんだと。
終盤は少なくとも本作中では間違いなく一番つまらないので、あまり深く考えずにクリアだけすれば良いと思う。
総評
後々自分で見返したときに分かりやすいように、総評には5点評価で何点だったかを書いていこうと思う。
評価はクリア、もしくは断念した時点でのものになる。
ということで、こちらのゲームの評価は……
4.5点!
コントローラーの操作周りでの不備や終盤の失速もあって4.5点としたが、それまでにこのゲームならではの価値や面白さを体感するには十分だった。
スタイリッシュ・ガンアクションを体現したアクションは眼を見張るものがあり、インディーのアクションゲームにありがちな「同じことを何ステージも繰り返す」ということもなく、ステージごとに新たな試みが出てきて楽しかった。
またアクションゲームで重要なレベルデザインも非常に洗練されている。
スタイリッシュなアクションを行うためには操作をすべて知っている必要があるが、それをプレイさせながら覚えられるデザインで親切かつスマート。
ペドロも魅力的だし、アクションゲームに新たな1ページが刻まれたと言っていいだろう。
あとがき
今回もXbox GamePassでのプレイ。
2018年のE3で発表されたときに「面白そうなゲームだな~」と思っていたので、今回プレイできて良かった。
すでにドラマ化やマルチプラットフォーム展開などで評価されているのは感じていたが、その期待に違わない良作だった。
個人的にハイスコアを目指したり、2周目を走るのが好きではないためHARDやBANANAの難易度でプレイする予定はないが、リプレイ性もあると感じた。
スコアといえば、デビル・メイ・クライとかもプレイしたときスコアを一々つけられるのが嫌だった覚えがある。
そう思うとスコアに対する因縁は結構根が深いかもしれない。
理由は結構単純でスコアが低いことで得られない要素があることが嫌いだからだ。
すこし練習してクリアできればいいが、特殊なプレイスキルや遊びの範疇の練習ではカバーできない難易度のくせに報酬があったりすると、このゲーム向いてないんだなって感じがして嫌になっちゃう。
僕はゲームって映画や読書と同じ「娯楽」であるべきだと考えているので、その中で格差をつけるのは好みではないという感じ。
映画や読書って理解できるかは個人の差だけど、同じものを全員見ることはできるから平等ではある。
ゲームに求められる練習や成長って、ある範囲までは楽しいので「娯楽」として成立するのだけど、ある範囲を超えると「作業」とか「覚えゲー」とか言われて、一部の人間しか楽しめないスポーツ的な領域に入ってしまう。(ゲームの基本構造はゲームごとに作られたルールを学習して成長する過程にある)
スポーツは自分で遊びかガチか決められるから良いけど、スコアで強制的にガチを求められると嫌だなという感覚。
まあ、昔はアーケードゲームから始まっていて、そこからスコアの文化があるから完全に好みの問題だけどね。
そう考えると、ゲーセンでほとんど遊んだことがないからスコア文化に馴染みがないのかもなとも思う。
最近のゲームってスコアが無いものも多いし、意外と同じ感覚の人も多いのかなあ。(単純に家庭用ゲームはスコアで競わないようなものがどんどん出て来たってのもあるけどね)
ReCore: Definitive Edition
ゲーム概要
人類は、地球でアウトブレイクが起きたことによる滅亡の危機から逃れるために、ファーエデンと呼ばれる惑星をテラフォーミングすることで生存しようと考えた。
そしてその作戦を担う精鋭の一人、主人公のジュールを操るTPSアクションとなっている。
プレイ感覚が類似するゲームとしては、ラチェットアンドクランクなどが思い浮かぶ。
Xbox GamePassでプレイしており、問題なく日本語化されていた。
クリア時間はかなり寄り道をしながらで20時間程度。
ストレートにクリアすれば12~3時間程度のボリュームだろうか。
感想
かなり辛口になってしまうが、あらゆる点において秀でたもののない、やや低水準なTPSという印象だった。
まず真っ先に感じたのは、予算の都合。
スタッフはメトロイドプライムの開発陣ということで期待していたが、どう見ても予算がメトロイドプライムの何分の1もなく、随所に妥協の跡が見受けられた。
定価が2000円程度ということから考えると、演出やモデルなど頑張っている感じはあるのだが、どう見ても予算を考えてないスケールのゲームだと言わざるを得ない。
目指している先にはフルプライスゲームのリッチな体験がおぼろげに見えるのだが、予算という現実が壁となっている。
また、このゲームが独自に持っているシステムは漏れなく欠点を抱えていることも残念。
良いところは翻訳がちゃんとしていることと、明らかにつまらないと言うほど壊れたゲームではないということか。
翻訳
翻訳はとても良かった。SFという題材であっても用語やダイアログにも破綻がなく、よく出来ていた。
バトル
一言で表すと、爽快感のなくなったラチェクラ。
TPSの基本を守ってはいるため、つまらないほどでもないのだが、なにせ面白くもない。
なぜ爽快感がないのかと言うと、幾つかの理由が挙げられる。
・武器の種類が1種類しかない(色は変えられるが、武器自体は変わってない)
・綱引きがテンポを殺している上に、報酬的にもデメリットを抱えている。
・敵のバリエーションが5種類くらいしか無い
・武器の色を変えて戦うシステムが完全に無意味
まず上記をみてわかるのは、非常に単調なゲームプレイを強いられるということだ。
少ない敵の種類に、たった一つの武器で最初から最後まで戦わなければいけない。
スナイパーライフルだとか、ショットガンだとか、そんな小洒落たものはない。あるのはアサルトライフルだけである。
一応チャージショットには3種類あるが、使い分けに全く意味がないのでノーカウントである。
そして単調なゲームプレイから爽快感も奪い去るシステムが「綱引き」になる。
「綱引き」とは敵ロボットのHPをある程度減らし時にコア引き抜くことでフィニッシャーを行えるシステムなのだが、フィニッシャーを行うとコアVS主人公の綱引きが始まるため「綱引き」と呼ばれている。
まずフィニッシャーの演出が長いだけで敵からの攻撃などデメリットが多く不評を招くにも関わらず、ミニゲームまでやらせた上、別に無敵でもなく攻撃を食らうというのは、なにかの冗談かと思った。
しかもコアを取ってしまうとアイテムドロップをしないため、コアを取ることが100%の旨味でもないというのも意味不明。
こんだけ苦労しているのに報酬面でもデメリットがあるって、嫌がらせなのだろうか。
そして極めつけは武器の色を変えて戦うシステムだ。
簡単に説明すると、武器の色を敵に対応した色(同じ色)にすると、より多くのダメージを与えられるというシステムになっている。
色は青、黄、赤とあってそれぞれ青は痺れ、黄は鈍速化、赤は炎上と状態異常やステータスに違いがあるのだが、当然同じ色に合わせて戦うため使い分ける意義がほとんど感じられない。
他にも攻撃を食らうと怯みが発生してハメられる時があるとか、状態異常が鬱陶しい上にテンポまで損なっているとか、枚挙に暇がないのだがキリが無いので次に移ろうと思う。
システム
バトルにも言えることなのだが、細かい部分のストレスが無限にある。
だが「ここは面白いな」と思う部分は何一つ無い。普通かそれ以下しかないのだ。
マップがひたすらだだっ広いだけで面白くないとか、破壊可能オブジェクトから出るおアイテムの吸い寄せ判定が入るまで異様に長いとか、ダッシュが壁に当たると怯みが発生してアクションにストレスがあるとか……言いたいことは本当に尽きないのだが、コレはないだろと思うものに焦点を絞らせてもらう。
・バディが2体までしか連れ歩けない
・クラッシュやバグが意外とある
このゲームをやっててストレスしか感じなかった要素、それがバディは2体までの制限だ。
メトロイドプライム開発班ということもあって、メトロイドヴァニアな探索要素が散りばめられているのだが、探索には必ずバディの力が必要になるよう設計されている。
つまり探索要素を探索するには、現地に向かう→必要なバディを調べる→一度セーブポイントへ帰ってバディを変更→また探索地点へ向かう→探索という一つの地点を探索するだけで膨大な手数を無意味に求められる。
しかも探索ポイントは数十以上ある。上記の行動を数十回繰り返すのははっきり言って苦痛以外の何物でもない。(当然連れているバディで対応できれば戻る部分は短縮できるが)
想像してみてほしい。メトロイドをプレイしているときに探索するために一々セーブポイントで装備を付け替えて、探索するを繰り返す姿を。
全くもって非効率的すぎて、掛け算をわざわざ足し算で解いている錯覚に陥る。
この問題はハッキリ言って、ゲーム設計が完全に間違っている。
ではなぜこんなイカれたシステムが爆誕したか推察すると、バディとの共闘システムが足を引っ張っているからだと考える。
このシステムではバディに指示を出すことで回数制限のあるスキルを使わせることができる。
問題はこのスキルがそれなりに火力を出せるため、乱発されるとそれだけ出してればクリアできるというゲームになってしまう点だ。(実際はそれだけでは面倒だろうが、やろうとするユーザーが出てきてしまうということだ)
それを防ぐために開発が取った行動が、バディの数を制限することで乱発させないということになる。
せめてバディ付け替えがどこでもできればもう少しマシだったが、これも上記の問題のせいだろうか、セーブポイントでの付け替えという最悪のシステムで行われている。
更にゲームプレイ中のストレスに拍車をかけるのがバグとクラッシュの存在だ。
バグは単純に完成度が低いゆえに起こる一連のバグ全てが起こりうる。
遭遇したものだと、敵が壁や天井にめり込んで帰ってこない、パズルの解く順序を123でなく213と解いてしまったがために進行不能に陥る、フラグが成立してないのに扉が空いているせいでアイテムが消えている……などだ。
(他にもマップ外へ侵入できるマップがあるとか、デバッグまがいの話もあるのだが、これは意図的に狙わなければ問題にならないので良しとする。)
これらはシンプルにデバッグ不足の代物にほかならないため、純粋に完成度がやや低い、と結論付けざるを得ない。
特にパズルの順序に関してはプログラムのバグではなく、パズルの完成度が低いだけなので、より残念。
シナリオ
SFということだが、人類を滅亡へ追いやる疫病の名前がデビルダスト病とか、なんかダサい。
ロボットが機械音しか喋ってないのに、めちゃくちゃ普通に意思疎通して話しているのは不思議な光景だけど、本筋も特筆するべき部分はない普通の物語。
ただバッドエンドという程ではないが、ハッピーエンドでは無いため気分良くゲームを終わりたい人はあんまりおすすめできない。
グラフィック
PS4初期程度の品質だろうか。
きれいだとは思うのだが、予算の都合か随所にツメの甘さが残っている感じ。
ラストダンジョン
なぜこんな項目があるのか?それはこの項目がこのゲーム最大最悪の欠点だからだ。
ラストダンジョンでは紛れもない予算切れと工数切れを起こしており、そこで取った行動がまさかの汎用のアセットを使いまわして異常に長い単調なダンジョンを作るというものだったということだ。
愕然とした。ここまで清々しいほど省エネなラストダンジョンがあるのかと。
単なる板だけで構成されたダンジョンを、なんと5階層分もやらねばならない。
1階層の長さですら、今までの長めダンジョンと同等の長さだ。それを5回繰り返すのだ。
その間やることは本当に、誇張なしに全く変わらない。
アスレチック→戦闘→アスレチック→戦闘→アスレチック これがワンセット。それを5回繰り返せばラストダンジョンはクリアとなる。
まさか最後にこんな爆弾が潜んでいるとは。もうゲーム作るの飽きちゃったのかなと心配にすらなる。
総評
後々自分で見返したときに分かりやすいように、総評には5点評価で何点だったかを書いていこうと思う。
評価はクリア、もしくは断念した時点でのものになる。
ということで、こちらのゲームの評価は……
2点!
実はラストダンジョンをやるまでは、3点くらいを考えていた。
欠点が多い作品だったが、フルプライス級ゲームの体験を目指している志の高さは伺えており、随所で足らない部分も目につくが、それでも及第点にはギリギリ届いていると思っていた。
だが、その幻想はラストダンジョンが見事に打ち砕いた。いや、ラストダンジョンに差し掛かったとき開発の幻想が打ち砕かれたのだろう。
それは予算なのか、スケジュールなのか、軌道修正不可能なゲームの底の浅さに気づいてしまったのか。真実はわからない。
ただ言えることは、この作品はこれ以上お金をかけてもペイ出来ないとラストダンジョンで開発は気づき、手抜きで仕上げたということだ。
ビジネスなので仕方ないことかもしれないが、消費者からすれば全く関係ない。
僕がプレイしたのは、史上最低の、5回コピペを繰り返しただけかのような薄っぺらなラストダンジョンだったのだ。
これをプレイして及第点とは口が裂けても言えなかったので、2点となった。
あとがき
またまたXbox GamePassでのプレイ。
普通は買わなそうな作品もプレイできるので、サブスクは偉大だ。
今の開発というのは数億円規模はやや低予算と言えるほどお金がかかるのが現状で、それ故にたった1ヶ月開発を伸ばしますという決断がかなりの経済的な打撃になることも知っている。
僕も数億円という、潤沢ではない資金でのプロジェクトでコンシューマーゲームを開発したことがあるため少し気持ちはわかる。
だがそれでも、ユーザーの目線を忘れてしまっては本末転倒なので、今回のゲームは良い反面教師になるなと思った。
というかそもそも、プランニングの段階でどこまで作るとかは決めてるはずなので、ラストダンジョンがああなったってことは開発が遅れて資金を圧迫したのかなあ。
メトロイドプライム開発という輝かしい実績のあるスタジオでも、やっぱり資金という最大の敵には抗えなかったということだ。